うつ病

うつ病について

潜在患者数は360〜600万人と推定されています。
うつ病患者数は増加傾向にあり、特に軽症うつ病の受診が増えています。

この背景には、社会構造の激変によるストレスの増大も一因と考えられます。高度情報化社会、核家族化、高齢・少子化、女性の社会進出、バブル崩壊、リストラ等、社会構造は大きく変化しています。

うつ病の診断基準

①その人自身の言明(例えば、悲しみまたは、空虚感を感じる)か、他者の観察(例えば、涙を流しているように見える)によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。

②ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味、喜びの著しい減退。

③著しい体重減少、あるいは体重増加。またはほとんど毎日の、食欲の減退または増加。

④ほとんど毎日の不眠または睡眠過多。

⑤ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止。

⑥ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退。

⑦ほとんど毎日の無価値感、または過剰であるか不適切な罪責感(妄想的であることもある)。

⑧思考力や集中力の減退、または、決断困難がほとんど毎日認められる。

⑨死についての反復思考、特別な計画はないが反復的な自殺念慮、自殺企図、または自殺するためのはっきりした計画 。

(米国精神医学会、DSM-Ⅳ 精神疾患の分類と診断の手引より抜粋)

症状について

①抑うつ性感情障害
はっきりした原因なしに気分が憂うつになり、全てが面白くなくなります。周囲の物や出来事が生き生きと感じられなくなり、喜怒哀楽の感情がうすれます。
感情障害が強くなると、無感動の状態になります。
自我感情も低下し、自己を過小評価し、何事にも強い劣等感を抱き、悲観的、自責的、絶望的になります。

②うつ状態の思考障害
考えようとしても観念、着想が頭に浮かばない、自信がなく判断力、決断力が低下するため、思考のテンポが遅くなり、考えが進行しない状態になります。
自己を実際よりも低く評価し、物事を悪い方にばかり解釈して取り越し苦労をする微小念慮(妄想)がみられます。

③うつ状態の意欲・行為障害
物事をやらないといけないと思っても「おっくう」「大儀」でどうしてもできない、仕事も手がつかなくなります。
*抑うつ気分や精神運動制止は朝のうちに強く、午後から夕方、夜にかけて軽くなる傾向があり、この現象は日内変動と呼ばれます。

④うつ病の身体症状
各種の自律神経症状、内分泌機能障害が出現します。
睡眠障害、疲労、倦怠感、食欲低下、口渇、便秘、下痢、悪心、嘔吐、体重減少、呼吸困難感、心悸亢進、性欲減退、月経異常、耳鳴り、頭痛など。

どんなタイプの性格の人が?

メランコリー親和型人格

仕事の上では正確、綿密、勤勉、良心的で責任感が強く、対人関係では他人との衝突や摩擦を避け他人に心から尽くそうとするという「他者のための存在」、「他者との共生」という傾向を示し、道徳的には過度の良心的な傾向を示します。一定の秩序のなかで安定した存在として生活を営むことができます。

このようなタイプの人は、仕事が増えた場合に、仕事の量も質も上昇させようとするので挫折しやすく、また、他人のための存在が生き甲斐であるので、近親者の死や別離は、ただちに生き甲斐の喪失につながりやすいです。

うつ病の発病に関係する誘因ないし状況

病気、事故、家庭内不和、結婚、妊娠、出産、月経、更年期、転居、目標達成後の急激な負担軽減、過労、職務の異動(配置転換、転勤、出向、転職、昇進)、退職、定年などが考えられます。

ご家族のみなさまへ

ご家族の方が患者さんをバックアップするためのアドバイスです。

  1. あまり態度を変えずに、今までどおり自然に接しましょう。
  2. 安易な励ましは逆効果になるときもあります。 温かく見守りましょう。
  3. 考えや決断を求めることはやめましょう。
  4. 外出や運動を無理に勧めず、ゆっくり休ませてあげましょう。
  5. 重要な決定は先のばしにさせましょう。
  6. 家事などの日常生活上の負担を減らしてあげましょう。

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